2013年08月25日

Judee Sill/Judee Sill

ジュディ・シルジュディ・シル
ジュディ・シル

曲名リスト
1. クレヨン・エンジェル
2. ファントム・カウボーイ
3. アーキタイプル・マン
4. ラム・ラン・アウェイ・ウィズ・ザ・クラウン
5. レイディ・オー
6. ジーザス・ワズ・ア・クロス・メイカー
7. リッジ・ライダー
8. マイ・マン・オン・ラヴ
9. ローピン・アロング・スルー・ザ・コスモス
10. エンチャンテッド・スカイ・マシーン
11. アブラカダブラ

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アメリカ出身のシンガーソングライター、
ジュディ・シルの1971年発表、デビュー作。

ジュディは幼い頃家庭内暴力を受け、
その反抗の中でドラッグにはまり込む。
10代で結婚するも、
同じくドラッグ中毒の夫は事故で他界、
命を繋ぐために強盗や売春などの
犯罪行為に手を染めていく。
深い闇とともに人生を歩んできた。

そんなすさんだ生活の中、
ひとつ光を見つけることができた。
服役中に教会音楽と出会い、
音楽理論を一から学び
音楽の才能を開花させた。

このデビューアルバムには
ジュディの壮絶な人生を
想起させる要素はないが、
彼女の音楽は誰かの癒しであるとともに
自分自身に対する贖罪や救済だったのかもしれない。
どの曲も希望に満ち溢れていて、
闇に侵されることのなかった澄んだ声は
神がかり的な美しさを持って
聴き手のもとへ降り注ぐ。

厳かで気品高い楽曲たちは、
ジュディが愛したバッハの影響が感じられる。
曲を作るときはメロディが自然と
上から降りてくるような感じだったらしい。
讃美歌にも似た神秘的な歌詞は、
音楽こそが自分の希望そのものであるという
メッセージであると感じる。

アルバムは高い評価を受けたが
商業的には失敗だった。
続くセカンドアルバムも
大衆的な評価を得られず、
自費で作成したサードアルバムは
お蔵入りになってしまう。
不幸が重なるように交通事故にあい脊椎を損傷、
後遺症から再びドラッグに手を出すようになり
ジュディはやがて表舞台から完全に姿を消していく。
そして1979年11月に
コカインの過剰摂取により死亡した。
享年35歳であった。

皮肉なことに、
時を経て彼女は再び評価され始めた。
もしも存命中に評価されていたとしたら、
もう少し明るい人生になっていたかもしれない。
しかし、ジュディの遺した音楽たちは、
彼女の音楽に出会った人全てに
今でもまばゆい光を与え続けている。
posted by naganopeth at 12:30| Comment(0) | J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月06日

Grace/Jeff Buckley


GraceGrace
Jeff Buckley

曲名リスト
1. Mojo Pin
2. Grace
3. Last Goodbye
4. Lilac Wine
5. So Real
6. Hallelujah
7. "Lover, You Should've Come Over"
8. Corpus Christi Carol
9. Eternal Life
10. Dream Brother
11. Forget Her

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ジェフ・バックリィの父親は
神がかり的な歌声で60年代にカルト的な人気を得た
シンガーソングライターのティム・バックリィ。
父親ティムと息子ジェフは生涯で一度だけ、
しかも幼少の頃のわずか数時間しか顔を合わせたことが無いという。
ジェフが9歳のときにティムはヘロインの過剰摂取で28歳の若さで亡くなった。

ジェフが本格的に音楽を始めたのは18歳のときで、
音楽短大に進学したことをきっかけにバンド活動などを始めた。
無名の演奏家として活動をしていたジェフの運命を変えたのは、
皮肉にも葬式に参加することもできなかった父親ティムの
ニューヨークの教会で行なわれた追悼コンサートだった。

そのステージに立ったジェフの姿が
ティム・バックリィの若かりしころに
あまりにも似ていたため観客は皆驚いたという。
そして父親への積年の思いをのせたジェフの歌声と
その類まれな才能に観客は圧倒される。
「ティム・バックリィの息子」ではなく一人のアーティストとして、
稀代のシンガーソングライター
「ジェフ・バックリィ」の誕生の瞬間となった。

そのジェフ・バックリィの生前唯一のオリジナルアルバムが
1994年9月に発表された「グレース」であり、
90年代の最重要アルバムの一つである。

狂気すら感じさせる極限の美しさを持つ
「天使の歌声」と評される声は、
聴く者の全ての心を震わせる。
その極致はレナード・コーエンのカバー「ハレルヤ」だが、
他の曲も全ての曲に全く隙を感じさせず
喜怒哀楽という安直な表現に終わることもない。
それを無意識に自然体にやっているあたりが
彼の底知れない才能を感じさせるのではないか。
小さなジャンルにとらわれることなく、
表現の限界を飛び越えようとしている。
ジミー・ペイジがこのアルバムを溺愛している理由も分かる。

わかりやすい派手さや煌びやかさを拒絶しているため、
リリース当初はさほど売り上げが伸びなかったという。
しかし手垢まみれの商業音楽にはない純粋さに
ジェフの大先輩のミュージシャン達も衝撃を受けたようだ。
ジミー・ペイジやロバート・プラント、
エルトン・ジョンなど各界著名人から高評価を得て
その後押しを受けてセールスも伸びていった。

父親の運命と重ねるように1997年に30歳の若さで死去。
彼の大ファンの一人であるU2のボノは
「ジェフ・バックリィはノイズの海の中の濁りのないひとしずくだった」
という追悼のコメントを残した。

音楽というあくまで趣味趣向のもので
必要以上に神格化することはあまり良くないと思うが、
このアルバムからは何か特別なものを感じてしまう。
posted by naganopeth at 23:53| Comment(0) | J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月02日

Jess And The Ancient Ones/Jess And The Ancient Ones

ジェス・アンド・ジ・エインシェント・ワンズジェス・アンド・ジ・エインシェント・ワンズ
ジェス・アンド・ジ・エインシェント・ワンズ

曲名リスト
1. プレイヤー・フォー・デス・アンド・ファイア
2. トワイライト・ウィッチクラフト
3. サルファー・ジャイアンツ
4. ゴースト・ライダーズ
5. サーティーンス・ブレス・オヴ・ザ・ゾディアック
6. ザ・デヴィル(イン・Gマイナー)
7. カム・クリムゾン・デス
8. サーティーンス・ブレス・オヴ・ザ・ゾディアック (ジ・オリジナル EP ヴァージョン) (初CD化) (Bonus Track For Japan)
9. ホワイト・ウィッチ・オヴ・ザ・ローズ・ホール (初CD化) (Bonus Track For Japan)

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トリプル・ギターとキーボードを擁する7人組という大所帯な編成の、
フィンランド出身ジェス・アンド・ジ・エインシアント・ワンズのデビューアルバム。

ドゥーム/ストーナーのジャンルに当てはめることができると思うが、
一部で"プログレッシヴ・オカルト・ハードロック"と呼ばれているように
神秘性やオカルト性が濃くその枠に簡単に収まらない特異性を持ち、
そのためか現代的な要素が皆無なのに古臭さをあまり感じない。
最近北欧から素晴らしいバンドが多数出てきているが、
その中でもこのデビューアルバムは出色の出来と言えると思う。

NWOBHMの影響が感じられるスピーディーな@や
ひたすら神秘的で郷愁を誘うAなども最高だが、
このバンドの真骨頂と言えるのは10分超えのBFだと思う。
プログレ、フォーク、ブルーズ、HR/HM、クラシックなど
様々なジャンルの先人達から受けた多彩なインスピレーションを
独自の解釈で自らの音楽に反映させ展開していく様は圧巻。
ジャケットアートを見ながら聴くと頭の中にぶわっと景色が広がっていく。

バンドの語り部である女性ボーカリスト・ジェスは
このバンドに加入する前はメタルやロックはあまり聴いていなかったそうだが、
彼女の天衣無縫のボーカルがバンドの世界観に決定的なものを加えていると思う。
少しジャニス・ジョプリンを想起させる情緒豊かな歌声が特徴的。

ちなみに"硫黄の巨人達"など不思議な世界観の歌詞は、
メンバーのオカルティックな体験談から書かれているとのこと。
posted by naganopeth at 15:28| Comment(0) | J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする